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物質的誘引(金銭報酬)の限界

前回の高橋伸夫氏の主張から引き続き、成果主義について考えます。

1980年の米国南部の小さな町でのエピソードです。

『第一次世界大戦後、ユダヤ人排斥の空気が強い米国南部の小さな町で、
一人のユダヤ人が目抜き通りに小さな洋服仕立屋を開いた。
すると嫌がらせをするためにボロ服をまとった少年たちが店先に立って
「ユダヤ人! ユダヤ人!」と彼をやじるようになってしまった。
困った彼は一計を案じて、
ある日彼らに「私をユダヤ人と呼ぶ少年には10セント硬貨を与えることにしよう」と言って、
少年たち一人ずつに硬貨を与えた。
戦利品に大喜びした少年たちは、次の日もやってきて「ユダヤ人! ユダヤ人!」と叫び始めたので、
彼は「今日は5セント硬貨しかあげられない」と言って、再び少年たちに硬貨を与えた。
その次の日も少年たちがやってきて、またやじったので、
「これが精一杯だ」と言って今度は1セント硬貨を与えた。
すると少年たちは、2日前の1/10の額であることに文句を言い、
「それじゃあ、あんまりだ」と言ってもう二度と来なくなった。』



(エドワード L.デシ 著, その他 誠信書房)より

少年たちは、はじめはやじること嫌がらせの喜び(満足感)を得ていました。
しかし、『金銭的報酬』を与えられたことによって、
『仕事(※)と『(職務)満足』が分離してしまい、お金のためにやじるようになりました。
そして、金銭報酬が減るとともに満足も少なくなり、やじることをやめてしまったのです。
※「ユダヤ人」とやじることはもちろん仕事ではありません。ここでは比喩的な表現として用いています。

もともと仕事と満足はくっついているはずです。

つまり「仕事それ自体が報酬」と言えるのです。

ところが、そこに金銭的報酬が投げ込まれると、
金銭的報酬が仕事と満足の間に割り込んで両者を引き離し、
満足を報酬の後に追いやってしまいます(Fig.1)。
[仕事→金→満足]と分離させてしまう効果があります。

こうしてひとたび金銭的報酬のために仕事をするようになってしまうと、どうなるでしょうか?

金銭的報酬が与えられなくなると、満足も得られなくなり、
仕事をする気もまたしなくなってしまうのです。


給料を上げれば勤労意欲が高まるという前提自体、科学的根拠はありません。

心理学者デシのパズル解きの実験によれば、
解いたパズルの個数に応じて金銭的報酬をもらうと、
それまでパズルを解いていた自由時間を休憩するようになってしまったそうです。


物質的報酬はインパクトが強すぎる報酬なのです。

仕事から喜びを奪うことすらあり得ます。

これが、仕事の成果を金銭的報酬とする成果主義の怖いところです。

幼い頃、母親の家事を手伝ったことがあります。
はじめはただ純粋に、「母に楽をさせたい」という気持ちで手伝っていました。
母は大変喜びました。
そして、母は手伝った報酬に『お小遣い』を私に与えました。
その後も母の手伝いを続けましたが、その気持ちは徐々に蝕まれ始めていました。
いつしか私は母への想いを忘れて、小遣いを目当てに手伝うようになりました。


金銭的報酬のインパクトにあなたの心は蝕まれていませんか?
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質問(。-_-。 )ノ

最後に、こどものお手伝いの例をあげられましたが・・・
どのようにしたら、こどもの仕事と満足を分離させずに、楽しみが得られるのでしょう?
また、お手伝いを継続させるためには、どうしたらよいですか?
KOU.さんの考えを聞かせてください。

名無しchanさん、コメントありがとうございます。

はじめに一言お断りします。
すべての人間が金銭的報酬のインパクトによって心を蝕まれるというわけではありません。
お小遣いを貰っても、純粋に「母に楽をさせたい」と思って手伝う子供もいます。

質問にお答えします。
答えは物質的誘引を行わずに、お手伝いの『喜び』を感じさせることです。
料理を例にすると、人に食べてもらって「おいしい」と言われることや
完成したときの達成感がその『喜び』だと思います。
小さいこどもなら包丁で野菜を切ったり、鍋をかき混ぜるだけで好奇心にかられるでしょう。
このような『喜び』を継続的に感じることによって、[料理⇒楽しい]とイメージするようになります。
そうなれば自発的に料理を手伝ってくれると思いますよ。

確かに、お菓子やお小遣いを貰えればこどもは喜びますが、
感謝や賞賛の言葉、つまり親に認めてもらえることはこどもの一番の『喜び』ではないでしょうか?
「こどもの『喜び』は何なのか?」
これを常に考えることは愛情の一つのカタチだと、私は思っています。
プロフィール

KOU.

  • Author:KOU.
  • 1981年生
    高等専門学校、大学院にて機械力学・制御工学を基礎とした振動制御に関する研究を行う。

    2006年
    某人材紹介会社入社
    エンジニアの転職サポートを志し、人事から求人ニーズをヒアリングする企業担当を経験。
    自動車、家電、半導体、精密・計測器、化学業界、総合商社など各企業の人事から採用ニーズを直接伺ってきた経験を活かし、第二新卒からエグゼクティブ層まで、これまでに1000人以上のビジネスパーソンに対してキャリアカウンセリングを行っている。

    [KeyWord]
    人材ビジネス/人材紹介/経営/人材開発/組織論/人事/CHO/HR/キャリアディベロップメント/カウンセリング/コーチング/MBA/MOT/技術経営
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